弁護士が教える気持ちよく仕事をすすめるために、会社内でルールを作る時のコツ

人事部、法務部、総務部などの管理部門が成熟していない会社における仕事の進め方、マニュアル、規程の整備の勘所を解説します。

1 社内ルールづくり

ベンチャー企業では、法規制や業界慣行などを調査することなくプロダクトの開発が進みがちです。「法律があるから、この範囲で事業をやろう」というのではなく、「こういうことをやってみたいが法律はどうなっているか」という順番で発想していきます。

このような発想の場合、法規制や業界慣行について調査をしながら、社内でのルールも作っていく必要があります。そこで、ベンチャー企業の企業内弁護士をしていた経験から、社内でルールを作るときに法務部門が考えるべきことを述べていきたいと思います。

2 知識以前のルール

たとえば、医療法のように「広告」の規制があったとしても、メンバーは何が「広告」にあたるのか、という段階から意識をしたことがない場合があります。

このような段階の場合には、「バナー」や「LP」、宣伝文句のない「のぼり」、ノベルティで配る「ボールペン」、「ハンドタオル」「ポケットティッシュ」、はてはSNS上での「クチコミ」なども「広告」の媒体になりえるということを伝えなければなりません(これらが「広告にあたると、そこに記載する宣伝文言には規制がある。」ということをメンバーが理解してもらうのはさらに困難な場合があります。ベンチャー企業の場合、同業他社が規制を無視している場合があるからです)。

メンバーが新しい媒体を利用しようと思うたびに、「これは広告に当たるのか、当たらないのか」と法務部門に照会がある場合には、社内ルールとして、「うちの会社では、何が広告にあたるのか」という「広告には規制がある」という知識以前のルールを作ることが必要になります。

3 他部門との協力

社内ルールを作る場合には、他部門との協力が不可欠です。例えば、広告規制の場合には、法務部門は、営業部門に「何を販促ツールとして使っているか」というヒアリングを行います。
そして、今後どのような顧客露出の方法を考えているのかを確認します。

営業部門の実態にあったルールでなければ作っても意味がないので、「どのような販促ツールが顧客に刺さるか。顧客に刺さるということは、影響が大きいということだから一定のルールを設ける必要がある」という視点を説明し、協議をしていく必要があります。

この営業部門との協議を省略すると、「いくらルールを作っても守られない」という自体になりかねませんので、ヒアリングは行ったほうがいいでしょう。

4 社内ルールの運用

社内ルールができたら、それが運用されるようにしなければなりません。社内ルールは、一定期間が経過すると陳腐化しますし、そのまま放置しておくと、「ルールを破っても問題ない」という空気が出来てしまいます。

そもそも、最初に作ったルールの場合には、「何をしたらルール違反なのか曖昧」ということが往々にして起こります。そこで、ルールを作ったあとは3ヶ月か半年おきに見直しを実施する必要があります。

例えば、「お客様からクレームがあったら上長に報告する」というルールを作ったとします。このようなルールだと、「お客様から不満はあったようだが最後に納得してもらったからクレームではない」「口頭で報告した」などという現場の声が上がってきます。

こういった声が聞こえたら、「不満の表明があったらクレームとする」とか「報告は、メールで行うものとする」などルールの見直しをして実効性を高めていく必要があります。

5 柔軟な改定

社内ルールを作ることは、ベンチャー企業が大きくなっていく上で避けることができません。
さらにIPOを目指している企業では、体制の構築ができているかということで、規定どおりに運用がなされているかも審査されます。

ルールを作る際には、法務部門が頭だけで考えようとせず、実際にそのルールを使う側とコミュニケーションを取り、運用可能なルールを作ることが大切です。「せっかく作った規程だから」、とこだわることなく、柔軟に改定を繰り返しましょう。

この記事を書いた人

中村 譲
中村 譲弁護士
約三年間、ベンチャー企業のインハウスローヤーとして企業経営に直接携わる立場で、様々な案件を扱ってまいりました。企業の中に身を置いたことで、経営レベルの案件も、営業現場レベルの案件も、大小の区別なく豊富に経験しております。
ベンチャー企業が成長していく過程では、未経験な業務に挑戦することばかりだと思いますが、「まずは行動しないと始まらないが、どの範囲まで進めていいのかわからない」という時に、法務とビジネスの観点から迅速な支援をさせていただきたいと考えています。
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