有機栽培≠無農薬!?有機栽培で使える農薬があること知っていますか?

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有機栽培野菜というと、普通の野菜より健康的に聞こえませんか? 値段の高さには目をつぶって、有機栽培の食材を購入することにしている人もいるでしょう。しかし、有機栽培は無農薬栽培と言うことではありません。限られた種類ではありますが、有機栽培(JAS規格)でも使える農薬があるのです。今回は、その農薬の一部をご紹介していきたいと思います。

はじめに・有機栽培(有機農産物)の定義とは

「有機農産物」とは「化学的に合成された肥料及び農薬の使用」を避けたものを基本とする、と定義されています。例えば「炭酸カルシウム」でも[化学的に合成」されたものは使えないが、「天然鉱石を粉砕」したものは使えます。

ざっくり言うと、天然由来のミネラルなどで、かつ農薬としての安全性を満たすものであれば、有機栽培でも使える農薬ということです。以下、ミネラルその他の有機栽培でも使える農薬を列挙していきます。

塩基性硫酸銅カルシウム

この農薬の別名は、ボルドー液です。あざやかな青い色が特徴なのですが、1800年代に、ブドウの盗難防止のため、硫酸銅+生石灰(酸化カルシウム)で青く色をつけたところ、ブドウの主要病害であるべと病にも効くことがわかりました。他の病気にも効くため、今日まで広く使われています。

硫酸銅と生石灰の混合比にもよりますが、基本的に強アルカリ性のため、目に強い刺激性があります。人の口に届くまでにはアルカリ性は失われてしまいますが、農薬を撒く側の農家さん(散布者)にとっては注意が必要な農薬です。

石灰硫黄合剤

これも1800年代に病害への効果が確認され、今日まで広く使用されています。こちらも強アルカリ性であるため、散布者にとっては皮膚への暴露は非常に危険です。人の口に届くまでにはアルカリ性は失われてしまいますが、アルカリ性のときに酸性のものと混ぜると硫化水素(猛毒ガス)が発生するため、散布者にとってはさらに危険な農薬でもあります。

炭酸水素ナトリウム(重曹)

アルカリ性に弱い植物の病害菌をアルカリ性溶液で叩くという構想の元、開発された殺菌剤のひとつです。弱アルカリ性であるため、強アルカリのボルドー液よりは散布者への危険は少ないですが、弱いとはいえアルカリ性であるため、やはり散布者にとっては注意が必要な農薬です。

炭酸水素カリウム

炭酸水素ナトリウムのナトリウムを、カリウムに置き換えたものです。炭酸水素ナトリウムと同様の作用をする上、カリウムは植物の養分でもあるので、肥料としても認められています。

還元澱粉糖化物(水飴の一種)

べたべたした液体で、微小害虫(アブラムシ類、コナジラミ類、ハダニ類など)の体にある呼吸孔(気門)に浸透して、気門をふさいで窒息死させる農薬、気門封鎖剤のひとつです。

化学農薬は同じ種類を連用すると効かなくなることがあるのですが、還元澱粉糖化物は化学農薬が効かなくなった虫でも、気門をふさぎさえすれば効くのが特徴です。また、化学農薬と違って、残留の心配をせず何度も使えるので、そういう意味でしつこいハダニ類やアブラムシ対策に需要があります。

スピノサド

バージン諸島の土壌放線菌Saccharopolyspora spinosaから生まれた天然殺虫剤です。天然物質であるため、有機栽培で使用可能な農薬の一つとなりました。特にイモムシによく効きます。また、犬のノミ・マダニ駆虫薬としても使われています。紫外線によって分解しやすいため、残留の心配もありません。

ミルベメクチン

北海道の放線菌Streptomyces hygroscopicus subsp.aueolacrimoususから生まれた天然殺ダニ剤です。ハダニ類、サビダニ類、コナジラミ類などに殺虫効果があります。特にハダニ類については、ハダニの致死量以下でもハダニの産卵を抑制する効果があるため、実質的に、ハダニに対して効く期間が長くなります。また、犬糸状虫症の予防、犬回虫および犬鉤虫の駆除、犬鞭虫の駆除にも使われています。

Bacillus thuringiensis(バチルス・チューリンゲンシス)

aizawai株、kurstaki株があり、どちらもイモムシによく効きます。納豆菌とは親戚です。この菌は菌体の中に結晶性のタンパク質の一種を作ります。イモムシがこのタンパク質を食べると、アルカリ性の消化液で溶解されるのですが、これが、さらにイモムシのタンパク質解酵素により、殺虫力を示すタンパク質にまで分解され活性化されることで、殺虫効果を示します。哺乳類と昆虫では消化管中でのタンパク質の消化分解メカニズムが違うため、人間には安全です。

昔からカイコの幼虫の卒倒病の原因として知られていましたが、ここから、鮎沢啓夫(あいざわ けいお)氏が害虫のイモムシ類に効く可能性を調べて、aizawai株に行き着きました。その経緯はこちらの本『カイコの病気と戦う』に詳しいです。

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%A8%E3%81%9F%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%81%86-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%9C%AC-%E9%AE%8E%E6%B2%A2%E5%95%93%E5%A4%AB/dp/4001152053

まとめ

有機栽培でも使える農薬について、印象はいかがでしたでしょうか。この他にも、有機栽培でも使える農薬としては、害虫の天敵、害虫に寄生するカビ、植物の表面を覆って病害を防ぐ菌、蛾などの性フェロモンなどがあります。

ちょっとした雑学として覚えておいていただけると幸いです。

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