夏休み最後の1日でも間に合う、読書感想文。 「星新一」を読もう!

夏休みの終わりが見えてくると、保護者は宿題のゴールが気になってきます。多くはほぼ毎日「宿題やってね」と声をかけ、子どもから「わかってるよ」と返事をもらう。最近の小学校は「ドリルの丸付けはご家庭で」の傾向にあるので、手間はかかるものの進捗状況は把握しやすいでしょう。

ところが、宿題の定番「読書」には時として落とし穴があります。全学年に出される宿題ですが、小学3年生あたりから「読書感想文」もセットにされてきます。つまり「本を借りて読んでいたから、読書の宿題は済んだと思った」という、感想文の存在をウッカリすることが少なくありません。

これらの背景には毎年実施される、青少年読書感想文全国コンクールがあります。参加に強制力はないものの、多くの小学校宿題を通してこの機会を積極的に活用しています。

今やネット検索すれば、賞をとれる感想文の書き方や、選ばれやすい傾向と対策を分析した記事は無数にあります。しかしコンクールどころか「それ以前に宿題ができていない。作文が手元にない。マズイ!」という事態なら、たとえ夏休み最後の1日でも間に合う方法があります。

読書感想文の救世主となる作家の名は「星新一」。ショートショートの神様とも呼ばれるSF作家です。星新一作品がなぜ適しているのか、その理由と時短テクニックについてまとめましたのでご覧ください。

作家・星新一とは?

1926年(大正15年)東京生まれ、1997年(平成9年)没、享年71歳。祖母は森鴎外の妹、父は星製薬株式会社(現 株式会社テーオーシー(TOC)の子会社)の創業者で、まさに文学とサイエンスの血を引く人物。

400字詰め原稿用紙10数枚程のショートショートと呼ばれる小説形式は群を抜くセンスで、1000篇以上も世に送り出しました。独特な言い回しと透明感ある作風は、年齢性別国籍を問わず好まれ、特に小中学生の子どもたちの人気は絶大でショートショートの神様と呼ばれるように。

執筆は生涯現役。

ファンタジー長編、父や祖父などの伝記、民話を思わせる作品のほか、膨大なショートショートを長く読み継がれるように、時代とともに古くなる表現の改訂作業も意欲的に取り組みました。現在も増刷・復刊が行われ、20言語以上650件以上も翻訳されており世界中にファンがいます。

星新一ショートショートといえば、イメージしやすい簡潔な描写、子どもでも理解しやすいシチュエーション、そして見事な起承転結。特に「転」と「結」は、SFではおなじみの時空間をよじるような展開で、ついでにおなかもよじらせてしまうというユニークさ。

あるいは

  • 「四コマ漫画」
  • 「世にも奇妙な物語」
  • 「笑ゥせぇるすまん」

を彷彿とさせる印象深い世界観を、活字だけで見事に創造しています。子どもの頃に受けた感動や衝撃からか、平成の子どもたちによると「親から読んでみたら?とすすめられる本」の著者として、星新一を知るケースが多いようです。

感想文を仕上げる手順とは?

コンクール用の読書感想文であれば、

  • 「本選びで勝負がつく」
  • 「課題図書を読むべし」
  • 「校内審査対策として先生の心象を良くする」
  • 「一貫性と表現力で勝負」

など攻略法が要ります。が、今回は「とにかく感想文を完成させる」のが目的なので、以下のようにシンプルな手順をおすすめします。

  • 書き出し → 最も強く伝えたいこと、強く感じたこと、インパクト。
  • 本のあらすじ → タイトル、作者、登場人物、ジャンルなどをざっくり。
  • 主題 → 作品と、書き手の体験や感情とを混ぜ合わせて書く。
  • 締め → 本から学んだ、本に気づかされたなど、あくまで本ありきの締め。

読書感想文が苦手な子どもは、構成を組み立てることに四苦八苦します。夏休みが最後の1日とあらば、ここは割り切って大人が少し加勢する方がスピーディーです。夏休みの嫌な思い出にしてしまうと、感想文の苦手意識がますます強まるので加勢は回避の意味もあります。

手始めに子どもに本を一読させて、しおりにする紙切れ(裏が無地のプリントやチラシを適当にカット)に感じたままメモさせます。

  • 「主人公の性格が自分に似ている」
  • 「ここにビックリした」
  • 「自分ならこうするのに、主人公は○○だ」
  • 「何度でも読みたくなる場面」
  • 「名台詞、キメ台詞」

など、枚数をできるだけ書かせましょう。

次にしおりを、大人が感想文に使えそうなフレーズを選りすぐり、①〜④のジャンルに振り分けます。この作業をすると、子どもが読んだ本にどんな感情を抱いたかが見えてきます。それを軸に感想文全体の構成と、方向性やカラー(驚き、喜び、共感、発見、怒り、悲しみ、やるせなさ など)を大人が整理してあげます。

「面白く読めたんだね。じゃあ面白かったことが伝わる文にまとめようか」

「主人公が優しいと感じたんだね。じゃあ褒めてあげる文章にしようか」

このように子どもが頭の中で「仕上がりをイメージ」しやすいよう大人が口頭でサポートします。いよいよ書く時には、①〜④に振り分けたしおりを見つつ「ここに、このことを書いていこう」と具体的に教えながら、指定文字数まで書かせていきます。文体は「です・ます」で統一しましょう。

ショートショートだからできる時短テクニック

“気に入った篇だけ読む”

小説と違い、ショートショート集は全部読まなくても感想文を書けます。もくじを開いて「気になるタイトル」数篇読めば、「いろいろ読んで一番よかった」と書き出しに盛り込めます。

どうしても複数読めなければ、もくじから1篇を厳選。なぜその題名に惹かれたか、題名からどんな物語を予測したか。あえて苦手を感想文のネタにして、書き出しや主題に活かすことができます。

“10分程度で読む”

星新一ショートショート集は、1冊に20篇ほど。1篇10ページ前後しかないので、子どもの読書力でも10分程度で読み終えます。登場人物そしてストーリーも、明解かつ的確なので、起承転結やオチが分かりやすい。物語そのものが感想文にまとめやすい構成なのです。

“かくなる上は音読”

子どもによっては、どんなに短編でも読むのが苦手だったりします。コンクール用の感想文ではないので、ここは割り切って音読してあげましょう。

音読なら「このエヌ氏ってどんなオジさん?」と想像を促したり、難しい熟語、警察と探偵、強盗と泥棒の違いなど、その都度補足できます。子どもの理解は、感想文をスムーズに完成させる秘訣です。

“とにかく2倍”

読書感想文は、書き上げた作者そのものへの感想をつづることもできます。ただその場合は物語の場面を必ず引用して、どんな作品かを伝える内容が抜け落ちないよう注意します。

「青年が○○とは驚きで、こんな設定を考えた作者はすごい」というように、作品と作者を並行させて書き進めていく。感想を2倍のボリュームで書き進められるので、文字数を早く稼ぐこともできます。

 “いっそ手紙風・いっそ登場人物”

小説のように、感想文もドラマチックに読ませたい。時間がない中でも文章に工夫を凝らしたい。これらは表現でいかようにもできます。

書き手が、作中の登場人物やオリジナルキャラになりきって、モノローグ(ナレーション)調にまとめる。あるいは、前略作者様と書き出して、手紙調にまとめる。小学生であれば、おしゃべり感覚の口語体の方が書きやすいでしょう。

“高学年は文庫本アピール”

ショートショート集のハードカバーは、文字が大きく、ふりがなもふられているので、小学校高学年向けの書籍としては少々幼い印象を与えます。

ただ出版社が代わると、同タイトルでも本の形態がちがいます。読むのはハードカバーでさっと済ませ、感想文のあらすじには文庫版の出版社名を書いておく。こちらは文字も小さく、ふりがなもありません。こうした頭脳プレイも時短テクニックのひとつです。

 “コピペは時間のムダ”

昔はあとがき、今はネットのレビューを、かいつまんで繋ぎ合わせれば感想文が簡単に完成するという意見があります。しかし別々の人が書いた一文をただかき集めただけで、辻褄を合わせ、緩急をつけて、文章全体に統一感を持たせるのはやってみると難儀です。

そもそも本を読まずに物語のヤマやオチ、面白味を語れないでしょう。コトバの並び替えで頭を悩ませるなら、自分らしいコトバでイチから書いた方が断然早く仕上げられます。

読書の秋にも活用できる

夏休み最後の1日でも書き上げるテクニックですが、感想文を書く機会すべてに活用できます。夏休みのあと、やってくるのは読書の秋。国語の授業や、図書委員会からの募集など、何かと書く機会が増えるシーズンなので、夏休みの宿題で一度心得ておくとのちのちも重宝します。

最後に

メールやSNSで伝える連絡文と、感情を文字化して読み手の心を揺さぶる文章。似ているようで読み比べてみると、コトバの重みやコトバの持つ力に差があることに気づけます。同時に書き手らしい個性や感性も、読書感想文というフィルターを通すと見えてくるものです。

少々拙くても、少々荒削りでも、気にせず。小学生の場合、長く時間をかけるほど書き直すほど、文章がうまくなるとは限りません。読んで書いて1時間、そんな瞬発力でまとめた文章がミラクル級に面白かったりもするのです。

読書感想文の宿題をもし忘れていても、最後の1日に思い出せればセーフ。ぜひ書くことを諦めないでください。

スポンサーリンク
336×280
336×280

最新記事の更新はこちら