スピルバーグの話題作「ペンタゴン・ペーパーズ」「レディ・プレイヤー1」上映中!話題の2作を見比べるなら今!

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スティーブン・スピルバーグ(以下スピルバーグ)監督の話題作が、この春から日本各地で上映されています。タイトルは『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』と『レディ・プレイヤー1』の2作。ちなみに前者はアメリカで2017年から限定公開されていたので、日本で同タイミングに2作通しで見られるのは非常にラッキーと言えます。

有名すぎる監督ですから、代表作をたずねると

  • 「子どもの頃テレビで『ジョーズ』の放映を見て、海水浴が怖くなった」
  • 「今風に言うと『E.T.』はキモ可愛いの先駆けだと思う」
  • 「あのテーマソングと面白さは何年経っても色褪せない、『インディ・ジョーンズ』シリーズ最高!」
  • 「マンガ絵の印象が強い『タンタンの冒険』をまさか実写化するとは、勇者だ(*共同制作で、自身初の3D映画)」
  • 「普段は重い作品を見ないが、『シンドラーのリスト』は監督自身にユダヤの血が流れていると知り、映画館へ足を運んだ」

などなど収拾がつきません。ざっと挙げただけで作品の方向性はバラエティに富み、スピルバーグの才能の振り幅がいかに広いかも一目瞭然です。

ちなみに上映中の2作は振り幅の両端にあるようなもので、もし期間がずれてそれぞれ単体で上映されていたら、観客は片方にだけ訪れる可能性が高いでしょう。「好きな人は好き」「興味ない人は無視」という実に対極な作品だからです。

しかし今なら、シアターの隣から隣へ同監督作品をハシゴすることも難なくできます。

もちろん脚本や出演者、原作の有無など違いはありますが、監督は映画製作の最高責任者であり、作品の背骨を握るキーマン。実際2作品を見てきた1人として、何も知らせず友人に見せれば、同じ監督だと「まったく気づかれない」自信があります!こんなにユニークな鑑賞をできるのは、まさに期間限定の今だけなのです。

「ペンタンゴン・ペーパーズ/最高機密文書」のあらすじ

まずは3月30日から公開されている『ペンタゴン・ペーパーズ最高機密文書』について。実話とあって、出てくる社名はまさしく著名なあの新聞社です。

そして物語の顔となるキャサリン(メリル・ストリープ)、ベン(トム・ハンクス)、ダニエル(マシュー・リース・エヴァンス)も実在の人物(2018年3月の時点でダニエルだけがご存命)。

つまり見ている光景は映画でも、胸に去来する感情や肌で感じる空気は、あの時代をそっくり体験しているのと同じと言っても過言ではありません。

舞台はベトナム戦争の長期化で、米兵の犠牲者は増え、国民の税負担も膨れあがり、徴兵制の反対ふくめ反戦ムードが高まる1970年代のアメリカ。国防総省による戦争の分析・解析では、戦況は泥沼化するばかりで勝利の見込みはない。

しかしこの報告は公表されず、最高機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」として完全に隠蔽されるのでした。

ところがあるルートを経て、ニューヨーク・タイムズ紙が文書の存在を大スクープ。国があらゆる手段でタイムズ紙に圧力をかける一方、展開の鍵を握るライバル社ワシントン・ポスト紙が動きます。しかし息巻く編集主幹のベンに対し、肝心の新聞発行人はアメリカで初の女性が就任という事態。

妻と母でしかなかったキャサリンは、アメリカ憲法修正第1条にある「報道の自由の灯」を消すのか、消させないのか、116分間スリリングに魅せてくれます。

続いて4月20日から公開されている『レディ・プレイヤー1』は、現時点でスピルバーグの最新作にあたります。原作はアーネスト・クライン作のSF小説で、邦題が『ゲーム・ウォーズ』。こちらは一気に時代を超えて2045年の世界が舞台です。

27年後の未来、多くの人々はバラックが乱立するスラム化した街で生きるのが現実でした。リアルは辛すぎる、と誰もが逃げ出す先にあるのが、ゴーグルひとつで飛び込めるVRの仮想空間「オアシス」。

なりたい自分、人に見せたい自分をアバター(自分の分身キャラクター)に託し、

  • 食べる
  • 寝る
  • トイレ

へ行く以外はずっと「オアシス」の中で生きることで、地球上の人口の大半は生かされていました。

オハイオ州に住む主人公17歳のウェイドもその1人。彼をはじめ、人々が「オアシス」で特に夢中なのが、亡くなった創始者ジェームズ・ハリデーの遺言書にあるイースターエッグを見つけること。

その中身は「56兆円の全財産とオアシスの管理権」で、このゲームに勝てば辛いばかりの現実世界もバラ色に変わるというから必死です。

ウェイドはアバターではパーシヴァルと名乗り、「オアシス」で出会った仲間たちとゲームに挑むものの、当然邪魔者もウジャウジャ。なかでもエグいのが大企業IOIの社長ノーランで、「オアシス」と「現実世界」の両方から社員総動員で争奪戦に勝とうとします。

現実世界では親も親友も恋人もいないウェイドが、パーシヴァルとしては仲間をもち、憧れのアバター・アルテミスとひょんなことからお近づきになり、恋に発展するのかしないのかも気になる140分間。

3Dや4DXでの上映館もありますが、2Dでも驚くほど臨場感にあふれていて目が追いつかないほどです。

実話をリスペクトして撮りきった『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』と、アミューズメント感いっぱいの映像をあっけらかんと撮った『レディ・プレイヤー1』。くどいようですがどちらも同じ監督です。

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の見どころ

ネタバレなしの感想として、本作は日頃、社会派ドラマに興味の薄い客層が「結構面白い」と目からウロコを落とせる内容だと思いました。

まさに、『レディ・プレイヤー1』を見る男性陣、恋愛や青春ものに惹かれる若者層、そして

  • 不倫
  • 略奪
  • 挫折
  • 再生
  • シンデレラストーリー

をやたら押しつけられるアラサーやアラフォー世代に、こっちの世界へおいでよと橋を巧みに架けているあたりが、さすがスピルバーグです。

ゲームを通じて仮想空間に慣れている男性陣は、本作の再現された時代に入り込むのはお手のものでしょう。そしてあってはならない過ちに国が手を染めた事実に、1人また1人と立ち上がり、普段は邪魔なライバルもこんなときは足並みを揃えてしまう。

「こう巧くいくといいんだけどなあ」とぼやきが出たら、ぜひ思い出してください。この話は作り物ではありません、実話です。

さらに若者層には「群像劇は青春の専売特許じゃないんだぞ」のモデルケースになるでしょう。いざとなればおじさんだって馬鹿を承知で飛び込むし、おばさんだって啖呵を切る。

若者が「今だからできる、今だから許される」と期限付きと思い込んでる物事は、いい大人になっても結構できるぞ!とエールになるのも、本作が実話だからです。

最後に、アラサーやアラフォー世代の女性たちで言えば、どんな類の映画を見たら良いか迷える子羊であったりもします。好きな俳優目当てが第一で作品性については二の次であったり、ご都合主義のロマンスやシンデレラストーリーにはもうときめかない。

なりたい自分と、本当の自分との開きが気になる年頃で、かと言って自分磨きにムキになるのも限界が見えている、というように視界も思考も現実指向が強めです。それゆえフィクションよりも、ノンフィクションの方が親和性の高い化粧水のように染み込んでいくでしょう。

キャサリンの生い立ち、境遇、自分で望むのでなく導かれてしまった立場、そこで下す決断の意味。数ある社会派ドラマの中でも本作は、妙齢女性こそ見てもらいたいエッセンスがちりばめられています。

そして個人的には、『レディ・プレイヤー1』を鑑賞してから本作を見ることをオススメします。スピルバーグの才能の幅広さだけでなく、人間としての深みも感じ取ることもできるからです。

http://pentagonpapers-movie.jp

『レディ・プレイヤー1』の見どころ

一転して本作は、何の前知識もいりません。映画館のシートにライドオンしたら、子どものようにただただ、ストーリーのジェットコースターに身を預けて、ワー!キャー!と(心の中で)楽しんでください。

本作が創り上げたVRの世界は、子どもから大きな子どもまでがハマって抜け出せない理由を体験させてくれます。教育的指導をしたい側にしてみれば「スピルバーグ監督め、余計なことを」と苦々しい思いで見入ってしまうことでしょう。

またすでに周知されていますが、スピルバーグの親日家ぶりが伺えるほど、日本のアニメやロボットやキャラクターが多く仕込まれています。しかも黄金期だった80年代のオマージュが目立っており、アラフィフやアラ還世代には既視感満載です。

ちなみにこの年代は「中学になったらマンガからは卒業しなさい」と親から厳しく躾けられ、従うのが当たり前の環境で育ちました。しかしどうしても決別できず、押し入れの隅に隠し持ち、やがて訪れるオタクのバッシングにも「いい年してヤバイよね」と口にするたび、心の中では平身低頭で詫びていた、かなり濃い目の隠れオタクが男女とも多い世代でもあります。

よって「細かすぎて分かりにくいシーン」にこそコーフンを覚えるでしょうから、映画館へはぜひ何かと理由をつくって足を運ばれることをオススメします。

映画を見つつ記憶をプレイバックさせるという、老眼と老能を些か酷使するものの、エンドロールでは心地よい疲労感と満足感に包まれることでしょう。

そして最後に、本作は高めの年齢層だけでなく、女性目線にも充分叶う要素があります。主人公ウェイドより、アバターのパーシヴァルは格段に美少年ですし、吹き替えを担当したのが声優KENNさん。

さらに脇を固める面々に声優番付トップ常連の山寺宏一さん、三ツ矢雄二さんと日高のり子さん(タッチじゃないか)の名も並び、耳障りのいい時間を過ごせます。

原作自体がSF小説として優れているので、オタク要素をまるっと引いても充分楽しめる上に、やはりハリウッド映画の「スクリーンなんかはみ出してしまえ」とばかりに、ダイナミックな最新のSFX技術を見逃すのは人生の損!とも言えます。1人でも多く、ぜひお近くの劇場へお越しください。

http://wwws.warnerbros.co.jp/readyplayerone/

最後に

今回この2作を見比べて、あまりの精力的な仕事ぶりに「71歳とは思えない」「ずっと年下が疲れたとか言っちゃイカン」と身につまされました。そして感じたのが、スピルバーグ監督は「若い」のではなく「永遠の少年」なのだということ。

難しく受け取られがちな社会派ドラマをシンプルに映像化し、話がくどくなりがちな年寄りくさい部分をきれいに削ぎ落としています。映像として焼きつけたかったのは、純粋に真実を見抜き、決して目を離さない、子どものような目線ではないでしょうか。

そして夢と好奇心にあふれたVRの世界を描き、スクリーン狭しとあれだけキャラクターを動かし、アングルを小刻みに切り換え、おそらく夢中になってこの映画を創り上げたのだろうと想像してしまいます。

ペンタゴン・ペーパーズ最高機密文書』と『レディ・プレイヤー1』はジャンルからして対極に置かれる作品ですが、スピルバーグ監督の手にかかると、「友情・努力・勝利」が土台にがっしりとあるように思えます。

この3つのワードはまさに、世界をまたにかける週刊少年ジャンプの三大原則。スピルバーグ監督最大の才能は「永遠の少年」であることかもしれません。

なおこの2作は映画館によって異なりますが、6月下旬頃まで上映を予定されているようです。

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