実は「Xmasミュージシャン」じゃなかった。夏だ!海だ!山下達郎だ!をおさらい

日本の音楽業界になくてはならない山下達郎さん。シンガーソングライター作曲家音楽プロデューサーだけでなく、長年ご自身の番組を持つラジオパーソナリティーでもあります。

山下達郎さんといえばこの曲!と老若男女が異口同音に答えるのは、やはり『クリスマス・イブ』。JR東海のイメージCMとして制作された『クリスマス・エクスプレス』に大抜擢され(1988年の実質1作目はホームタウン・エクスプレスXmas編:主演深津絵里さん)、1989年第1作から1992年第4作までのわずか数年間で、冬の定番曲として広く親しまれました。

そもそも『クリスマス・イブ』は1983年にリリースされたシングルで、CMソングとして特別に書き下ろされた訳でも、新曲を起用した訳でもなかったのです。それであっても、のちの大ヒットは周知の通り。

そして2016年には、日本のシングルチャートにおいて連続チャートインした「最多年数を記録」し、ギネス世界記録に認定されているそうです。

クリスマス+音楽=山下達郎。この図式は世間ではテッパンと思われていますが、実のところ異を唱える声もあります。「達郎さんは夏男なのだ。夏ソングの多さを知るべし」と。山下達郎さんの代名詞は冬ではない。

これは、DREAMS COME TRUEは3人組だった、というのと同義なのでしょうか。夏本番を迎える前に、おさらいしてみましょう。

33年ぶりの名盤『COME ALONG 3』

山下達郎さんの夏ソングをピックアップするには、50点ほどのシングル、30点にも及ぶアルバム、これらをつぶさに聞いてから…となれば夏が終わってしまいそうです。何かよい方法はないかと調べると、気になる1枚を発見。2017年8月に発売されたアルバム『COME ALONG 3』です。まずはトレーラーをご覧ください。

わずか30秒ですが、夏のエッセンスをぎゅっと凝縮した珠玉の1枚なのが分かります。3とナンバリングされているようにシリーズ作品で、2作目の発売からなんと33年ぶりのリリースと判明しました。

しかしながら山下達郎オフィシャルサイトに本作が見当たりません。探したところレーベルであるワーナーミュージック・ジャパンの、山下達郎ディスコグラフィーの中にありました。

どうやらこのシリーズ、非売品からスタートしているようです。そのため通常のアルバムとは少々扱いが異なるのかもしれません。

シリーズ誕生秘話と曲紹介

話は約40年程前に遡ります。1979年の夏頃、レコードショップの店頭演奏用アナログLPが作られました。タイトルは『Come Fly with Me!!』。同年10月にニューアルバムのリリースを控えていたようで、その話題づくりも含めた宣伝の一環もあったのでしょう。

小林克也さんのノリの良いDJ、そのバックに山下達郎さんの音楽がノンストップで流れ、多くの聴衆を強く惹きつけたのでした。「店で流しているレコード、売ってないの?」と当時大変な反響だったようです。

レコードA面はダンシングサイドの構成で、大阪や神戸のディスコで人気に火をつけた『BOMBER』が景気よく1曲目を飾ります。B面はハワイFM局KIKIステーションより放送という設定。

ノース・ショアやサンセット・ビーチの波の音に乗せて、山下達郎特集やサーファー・ボーイ&ガールへ向けての波情報を盛り込みました。目を閉じて耳を澄ますと常夏の島へトリップしてしまう、遊び心を解放させてくれた魅惑の構成でした(竹内まりやさんご登場シーンもアリ)。

非売品があとあと正式に売り出される例は当時滅多にありませんでした。しかしこの反響のビッグウェーブを活かすべく、レコード会社は山下達郎さんに正式発売を打診。このアイデアは山下達郎さん自身でなく、レコード会社スタッフのものだったこともあり、「カセットテープのみ」という制限の中で翌年の春に発売されました。

タイトルは小林克也さんの口上でもある「Come Fly with Me!!」と、収録曲『ついておいで』の英題「FOLLOW ME ALONG」とを掛け合わせ、『COME ALONG』と付けられました。しかしここからシリーズ化になるとは、当時どれだけの人が予想できたでしょう。

さて、トレーラーでもうお分かりのように『COME ALONG 3』にパッケージされた曲は 「どこかで聞いたことあるぞ」が盛り沢山です。さすがは33年物。しかしどの曲もビンテージの香りはなく、今そこで吹いている風が抜けていくような奏で。いつの時代でもフレッシュに聴けるあたりが、山下達郎さんの音楽なのでしょう。

特に『COME ALONG 3』は、まばゆく、刺激的、それでいて短い、夏の様ざまな光景が浮かんでくるアルバムと言えます。

収録曲

  1. Keoki la Molokai Kid 偉大なサーファー伝説?!
  2. CHEER UP ! THE SUMMER〈2016年シングル〉
  3. 高気圧ガール〈1983年シングル〉
  4. 悲しみのJODY(She Was Crying)〈1983年アルバム収録曲〉
  5. 踊ろよ、フィッシュ〈1987年シングル〉
  6. I LOVE YOU・・・PartⅠ〈1984年シングル〉
  7. さよなら夏の日〈1991年シングル〉
  8. ドーナツ・ソング〈1998年アルバム収録曲〉
  9. 僕らの夏の夢〈2009年シングル〉
  10. THE THEME FROM BIG WAVE〈1984年シングル〉
  11. 新・東京ラプソディー〈1989年シングル〉
  12. JUVENILEのテーマ〜瞳の中のRAINBOW〜〈2000年シングル〉
  13. SOUTHBOUND#9(サウスバウンドNO.9)〈1998年アルバム収録曲〉

アルバムジャケットは『COME ALONG』シリーズ以外にも、相性の良さを発揮している鈴木英人さんが担当しました。アメリカンポップアート調のタッチで、光をたっぷり注ぎ込んだ色彩豊かなイラストは、日本の若者たちが憧れる自由でのびやかな西海岸ライフそのもの。

イラストレーターわたせせいぞうさん同様、一見するだけで「トレンディ」の単語が蘇るほど、時代を映すイラストではないでしょうか。

なお『COME ALONG 1』『COME ALONG 2』は、山下達郎さんがマスタリングに関わり最新デジタル・リマスターで蘇っています。こちらも2017年8月にソニー・ミュージックより発売されました。

2018年の夏は『未来のミライ』

「夏だ!海だ!タツローだ!」と、リゾートミュージックの視点でおさらいしてみれば、なるほど山下達郎さんは雪景色だけでなく、太陽も潮風もとてもよくお似合いです。海岸線ドライブや、ビーチで寝転びながら聴きたいナンバーばかりではないでしょうか。

季節にマッチした音楽がそばにあると、いつもの時間がいつも以上に豊かにふくらむ気がします。そして今年の夏、なんと山下達郎さんが新曲をリリースします。細田守アニメの最新作『未来のミライ』、そのオープニングテーマ『ミライのテーマ』、エンディングテーマ『うたのきしゃ』の2曲を両A面で7月11日に発売します。

細田守さんは『おおかみこどもの雨と雪』や『バケモノの子』、そして2009年公開の『サマーウォーズ』を手がけた監督です。初の長編アニメ作品となった『サマーウォーズ』の主題歌を山下達郎さんへ依頼。

そして9年の時を経て今回2度目のタッグを組み、両氏のファンは新作と新曲の全面解禁を非常に楽しみにしている模様です。

ちなみに初回限定盤は映画のビジュアルをジャケットにした特別仕様、通常盤はタツローくんのイラストが目印。上記2曲のカラオケだけでなく、『サマーウォーズ』の主題歌『僕らの夏の夢』のアコースティックライブバージョンも含めて計5曲が収録されています。

最後に

話題の映画公開より一足早く、6月23日より『山下達郎 PARFORMANCE 2018』全国ホール・ツアーがスタートします。今年は24都市49公演。過去6年間ほどコンサートツアーを中断していた山下達郎さんですが、2008年に復活以来10年間、毎年各地のファンと交流を温めているそうです。

ツアー中、新曲を生で聴けるチャンスに恵まれるのか。いずれにせよ山下達郎さんの夏は、今年も確実に熱いものになるでしょう。

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