うつ病などの精神的に病んだ方に対する「精神療法」と「環境・社会療法」について

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「うつ病」という言葉が有名になり、ずいぶん経ちました。漫画化、ドラマ化などもされ、今では鬱病だけではない他の精神疾患も有名になってきています。今回は、薬物療法ではない精神療法と、環境・社会療法についてご紹介します。

精神療法について

精神療法は言語的、非言語的な対人療法を通して精神的な問題を解決し、悩みを軽減することを目的とした心理学的療法です。

精神療法が重要な役割を果たすのは、不安障害や神経症性障害、パーソナリティー障害、寛解期の精神病性障害です。活発期の精神病状態、重篤なうつ状態、双極性障害の躁状態、脳の器質障害、著しい反社会的性格には、精神療法だけでは効果はあまり期待できません。

精神療法には、個人、夫婦、家族それぞれを対象とした療法と、集団で行われる集団療法があります。介入技法としては、

  • 「質問」
  • 「明確化」
  • 「直面化」
  • 「解釈」

などがあります。また、技法に基づいて、「洞察的精神療法」、「支持的精神療法」、「体験的精神療法」に分けられます。各種の精神療法としては、次のものが挙げられます。

心理教育

精神疾患の診断や治療技法、心理的社会問題について専門的な立場から患者に説明し、患者の理解が深まっていくことにより、患者に不安は安らぎ、治療意欲も高まる。

支持的精神療法

支持的に患者に接しながら、患者が自分の問題を解決できるよう手助けする。

クライアント中心療法

ロジャーズが提唱したもの。治療者が介入することを極力避けながら、患者の主体性と能力を尊重し、患者の話に耳を傾けることによって、患者に内在する成長力を解放し、治療へ結びつけていく。

精神力動的精神療法

フロイトが創始した精神分析療法。人間の意識を意識、前意識、無意識の三層に分けられていると考える。

抑制と呼ばれる防衛機能を用いて無意識の中に無理に抑え込まれた欲動(イド)が精神症状として現れると想定し、自由連想法を用いて、その葛藤を明らかにすることにより症状の改善を目指す。

また、フロイトの弟子ユングは夢や空想、神話に注目して夢分析を中心に治療理論を体系立てた。

対人関係療法

サリバンは精神医学を対人関係の学問と位置づけ、患者の対人関係の中で治療者自らが関与しながら観察することを重視。この理論は、フロム、、ホーナイらの新フロイト派に継承。

認知療法

人間の情緒が認知の在り方によって大きく影響を受けることから、極端な認知を修正し、情緒状態を変化させることを目的とした短期型精神療法。近年では、認知の介在を想定しながら行動に働きかける行動療法的色彩の強い治療法。

行動療法

問題となる行動を学習性の行動としてとらえる。行動分析を行ったうえで、問題となる行動が「条件付け過剰に起因する場合」と「条件付け不足に起因する場合」に分け、前者の場合に行動の消去を、後者の場合には行動の強化を目的とした治療介入。

森田療法

1920年頃、森田正馬が創始した治療技法で、神経症性障害の患者に用いられる。「かくあるべし」と考える理想の自己像と「かくある」と認めにくい現実の自己像との間の葛藤の結果として、症状へのとらわれがおきているとする。

治療としては、まず症状(気分)をあるがままに受け入れ、やるべきことを目標本位、行動本位に実行させる。それによってあっては困るという「死の恐怖」を、よくありたいと思う「生への欲望」に転換させるようにする。

その他、催眠療法、絵画・音楽・箱庭療法などの芸術療法、心理劇、遊戯療法、内観療法、家族夫婦療法、集団療法などもある。

環境・社会療法について

人間は環境・社会のなかで成長し、生きていく動物で、環境・社会に適応しなければ生きづらいです。環境という用語は幅広い意味を持っていますが、精神医学では、感情面からみた社会的な場(状況)という側面が重視されます。

もっとも重要な場は家庭であり、そのほか学業の場、レクリエーションの場、仕事の場(地域、職場)なども、パーソナリティーの成長にとって重要な環境です。精神障害の発病や経過などは、環境や社会の影響を大きく受けることが知られています。

悪化や再発を防止するためにも患者の周囲の人や生活環境も含めて改善していかなければなりません。このように、生活の場を治療的なものに変えることで、病的な行動を健康的なものに変えていくのが環境・社会療法です。

生活療法

生活療法は日本独自の名称で、生活指導・作業療法・レクリエーション療法の3つを合わせたもの。生活療法は、主に精神科病院の入院患者が対象。

生活指導とは

日常の生活行動の改善を目指すなかでの治療。起床、洗面、更衣、入浴、食事、トイレなど身辺にかかわる行動をはじめとし、金銭管理、服薬管理、銀行・役所などの社会資源の利用、対人行動のこと。

認知症性日常動作の低下や、統合失調症などによる社会機能の障害を有する患者に適用。入院治療では看護師に、地域では保健師、訪問介護師社会復帰施設の職員などが担当。

作業療法とは

作業を通して病状の改善を目指す治療法。病院での作業療法には保険診療が適用され、医師からの指示をうけ、作業療法士が作業処方箋を作成する。

作業に関心を向けることで症状へのこだわりを減らすこと、作業療法士や仲間と接することで人間関係の回復をはかること、作業のはかどりにより治癒機転となる。

レクリエーション療法とは

スポーツ、芸術活動、野外活動、運動会、文化祭のメニューを通じて、精神的緊張や葛藤を開放して病状の回復や健康維持を目指す治療法。入院やデイケアでは欠かすことのできないプログラム。

社会生活技能訓練(SST)

慢性の精神障害者を対象に、対人面での生活技能を向上させ、地域生活への適応を高めることを目指した治療法。基本訓練モデルと、自立生活技能プログラムがある。

基本訓練モデルとは

4〜8人のグループメンバーにより週1回のペースで行われるもの。実生活場面でとられた社会行動を再現し、より良い行動のリハーサルや他の参加者、スタッフに手本となる行動を示してもらうことで新たな行動を獲得するプロセス。

自立生活技能プログラムとは

地域で生活するために必要な知識と技能を学習するパッケージ(服薬自己管理モジュール、余暇の過ごし方や地域生活への再参加モジュールなど)が用意され、それに基づき学習するプログラム。

コミュニティーミーティングとは

入院患者が病棟単位で参加したり、デイケアのメンバー全員が参加するミーティング。「治療共同体」として、そこでの課題を話し合い学ぶ。大集団という特性を生かして、患者の自主性や責任感が促進化される。

最後に

上記のような環境・社会療法では、いろいろな療法、訓練プログラムなどを通して「変えられる環境は治療的なものに変えていくように活動をするとともに、変えられない環境に対しては、個々人の対処能力を高めていく」ことを目指しています。

脱施設化運動、病棟開放化、治療共同体理念の導入などは前者であり、生活療法、社会生活技能訓練、患者診療教育などは後者にあたる活動です。薬物療法以外の大切さは、あたたかく私たちを見守ってくれるでしょう。

また、自立支援医療について次の記事でご紹介しております。続けてお読みください!

あなたの大事な人がうつ病に罹ったら ~自立支援医療(精神通院医療)について~

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