テレビ低迷の世に、待ってましたの地上波番組。考え続けるテレビ『ファクトリサーチTV』

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若者テレビ離れは「時の流れ」とばかりに容認ムードですが、拡大が止まらないという困った事態で、なんと中年層の視聴低下しているのだとか。録画機誕生による「あとで見る」の波、家庭用ゲーム機などの「テレビ以外に面白いもの」の波、そして一番のビッグウェーブは「インターネット」の普及ではないでしょうか。SNSに時間を取られ、動画サイトやネットTVの自由やユルさに関心を奪われ、こうした勢いづくメディアに囲まれたテレビの現場は相当に過酷とお察しします。

そもそも中年層は、時代を遡ると多くが「テレビっ子世代」。子どもは外で遊べと家から出され、夜は8時9時には寝ろとスイッチを消され、親のディフェンスはなかなか強固でした。

唯一、病気で学校を休んだ時だけは、勉強を遅らせまいとする親心か、教育番組だけは許されたりして。「ずっと風邪ひいていたいなあ」と過るほど、テレビに魅せられ恋焦がれた世代でした。

当時のテレビっ子は生放送を見る機会が今より多く、火事や停電のアクシデント、取れた脱げた落ちた壊れたなどのハプニングを、リアルタイムで目撃するスリリングさがありました。

いわゆるテレビ黄金期を知り、テレビ愛を育まれた中年層ですから、多少番組内容が好まなくてもインテリア感覚でつけっぱなしにしている方(ながら視聴含む)が落ち着く傾向にありました。

https://news.yahoo.co.jp/byline/fuwaraizo/20160304-00055029/

この、テレビにとってお得意様の世代が「距離を置きはじめた」とあってはことは深刻です。原因については、やらせや虚偽、視聴率主義、過激で過剰なワイドショー化、コア層だけを意識した番組作り、などなど。

もともとテレビ愛があるゆえに、様々なカタチでの「番組劣化」を目にするのが辛くなってきたとも考えられます。

しかし不況下でもヒット商品が生まれるように、コンプライアンス的に厳しめといわれる地上波でも、ユニークな視点の番組はしっかと人目を惹きつけています。そのうちのひとつがテレビ朝日の『ファクトリサーチTV』。

わずか25分枠の短い番組ですが、時代にフィットし、毎回内容を絞り込み、何かしらのワンシーンやワンメッセージが残る「濃縮な構成」なのです。

一体どんな番組なのか、ポイントをまとめてご紹介します。

番組の顔は「いとうせいこうさん」

番組の発端は、テレビマンのアイデアではないのです。今年の2月11日、小説家でクリエーターでもある、いとうせいこうさんが自身のTwitterでつぶやいたのがキッカケでした。

当時せいこうさんは「フェイクニュースが広がり、言ったもん勝ちの世界になりつつある」と危機感を持たれていました。言われてみればネットニュースをチェックする際、

  • 「スピーディーなこと」
  • 「記事としてたくさん取り上げられていること」
  • 「閲覧数が多いこと」

を基準に、読みたい・読まなくてもいいと選択した覚えはありませんか。本来知りたいのは真偽のはずなのに、情報量が多いほど正解と思い込んでしまうとしたら、せいこうさんの発する危機感の意味を共感できそうですね。

「誰がどこでやってもいい」と放ったボールをキャッチしたのが、テレビ朝日のプロデューサー。ネット強の時代に「テレビにしかできない企画。しかも既存のテレビ番組にない番組になる、と直感的に思いました」とすぐさま企画書を書き上げ、翌日には上司に提出されたとか。

せいこうさんのつぶやきがフリーなだけに、先を越されまいとするプロデューサーの必死さが目に浮かびます。企画は見事GOサインをゲット。さらにこの番組はバラエティ畑のスタッフが手がけるという点も斬新です。

もちろん「この情報はマル、これはバツ、こっちは怪しいから三角」と真偽を問うのが基盤ですから、同社の報道部門や専門家の協力は欠かせなく、日々試行錯誤している点も見どころに繋がっています。

これまでの放送テーマ(関東地区)

  • 〈第1回放送〉世論調査が、新聞社やテレビ局によって数字が違う理由や世論調査の仕組みについて。
  • 〈第2回放送〉求人情報の誤解されやすい用語と、意外と知らないiPhoneの緊急SOS機能について。
  • 〈第3回放送〉ネット上で話題になる美容法・健康法の真偽や安全性について。
  • 〈第4回放送〉少年法とかめおか子ども新聞について。
  • 〈第5回放送〉フェイクニュースがどのように作られ、拡散していくのか?その最前線について。
  • 〈第6回放送〉ユニセフと日本ユニセフの違い?募金詐欺に騙されないためには?について。
  • 〈第7回放送〉何から何まで全部ウソ?話題の『国際信州学院大学』について。
  • 〈第8回放送〉身近な事例と共に、ネットで飛び交う曖昧なセクハラの境界線について。
  • 〈第9回放送〉今年の4月から教科化された、道徳の授業について。
  • 〈第10回放送〉日本と海外の学費の違いは?奨学金返済生活の実態は?について。

ファクトリサーチTV』のふむふむポイント

ファクトかフェイクか、リトマス試験紙な番組に見せていますが、考える材料を明らかにして、じっくりしっかり「考え続ける」機会を視聴者に届けるのが本来の狙いのようです。

原料に偽装があっては、途中の議論も、せっかく導き出された答えも、根底からひっくり返され破棄されます。その時、その瞬間、バズったネタを簡潔に、話題になったね!知ってる〜!で終わらせず、先々まで考え続けるチカラに繋げようとする番組なのでした。

現代人は知らずしらず、情報を選択することが習慣化し、いかにスピーディーでどれだけ大量に振り分けられるかを強いられてきました。その反動からか考える機会は減り、「思考停止」の傾向にあると自覚したことはありませんか。

考えるチカラも、ストレッチやジョギングと等しく、ちょこちょこコツコツ脳細胞を働かせておく必要があるのです。一度サビついてしまうと、回転をもとに戻すまでに一朝一夕ではかないません。

加えて、様々な業界でAIが受け入れられていく時代です。情報処理量において人はAIの早さに到底太刀打ちできないのですから、別の特技を磨いていくことが今以上に求められるでしょう。アイデアを練る、創造する、ひらめく。

これらの原動力は「考えるチカラ」そのもので、AIが不得意とする分野ともいわれています。「取捨選択」から「考えるチカラ」へ。『ファクトリサーチTV』は情報系娯楽番組の体でいて、実は人が人として生き残る指針を見せてくれているのですね。

グッと掴まれる!せいこう節

情報の真偽を問う番組の性質上、糾弾的あるいは告発調に見えるのでは?と懸念の声がありますが、実際蓋を開ければ、それは毎回杞憂に終わるとわかります。一週間お疲れ様と労わる頭にはありがたい、深夜バラエティ特有のユルさと愉快さは番組の色としてキープされています。

放送済みで、特に印象的な回を例に挙げてみましょう。

多くのTwitter利用者が目にしたであろう事態、第7回放送「うどんや蛞蝓亭の無断キャンセル#拡散希望」にまつわる、関係者への直撃取材はアッパレでした。発端となった国際信州大学が、まず架空の大学。うどんや蛞蝓亭も同様なのです。

これらの虚構をいかにしてリアルに寄せてきたのか。設定固めからサイトの作成、バズりやすい拡散方法の研究など、情熱と試行錯誤を垣間見られる「神回に迫る」内容でした。

「壮大なフィクションをみんなで作り上げようとする、なみなみならぬ意欲」「虚構の中に信じられるものを作る。映画や小説、アートの世界と通じる」など。

真偽をあきらかにされたあとのスタジオは「騙された!」と不穏な空気どころか「これはフェイクというより、世界観の完成度とネタとのギャップに、騙されたことが笑えてしまうジョークだ」と好感触。

「バレてもまだやる、まだいける、というのが面白い」「リーダー不在なのに、空気で統制できるという点が、テストケースとして興味深い」とゲストが評価をどんどん上げていくため、笑いつつせいこうさんは「褒めすぎだけどね」とクールダウン。

番組を中立に着地させるという、スマートな進行もお見事でした。

そして関係者サイドから、取材に応じた理由を託された番組スタッフ。「人を傷つけたくてやっている訳ではなく、ジョークとしてやっていることをテレビを通して伝えたい」と誠実な弁。ネットと比べれば「トロいテレビ界」ですが、信用面ではまだまだ価値は上なのかと、視聴者に再認識させた回でした。

さらに、せいこうさんのグッとくるコメントは続きます。第8回では政界での某大臣問題発言を流用し「セクハラ罪がたとえなくても、セクハラという罪はある」、第9回の道徳の教科化では「本当は(評価を出すのでなく)評価を待ってあげるのが(道徳上)大人の役目」など。短いながらもど真ん中を射抜く、言葉選びはさすがです。

このほか、第5回フェイクニュースの現状を解説する際に、わかりやすく、某大統領の映像とスピーチとを加工した動画を放送。フェイクの精度とレベルの高さに驚かされました。

たった25分ほどの番組を見た後、「自分はどう感じただろう」「自分ならどんな答えを弾き出せるだろう」と、考えるスイッチが入りやすくなります。

正解・不正解、イエス・ノー、白黒、と答えを出して終わりにせず、引き出しから出したり、時には引き出しの中で寝かせてみたり。考え続けるチカラ、問い続けられるチカラを、鍛えていきたいものですね。

最後に

放送エリアが関東ローカルなのがネックですが、「テレビ朝日内のテレビ東京」とせいこうさんは笑って受け止めているそう。テレビ東京とは、メディアが雪崩的に同じニュースを流す中、ひょっこり「アニメ」を流すことのできるポジションのたとえです。

一定方向に怒涛のごとく流れ込みやすい時代だから、「違う価値観を置く、タメをつくる」冷静さが必要だとせいこうさんは言います。もし驚くような情報に触れてしまったら「ウェイト、1ミニット(1分待とうよ)」を心がける。これはカッとなったら「6秒待つ」、アンガーマネジメントとも通じるものがありますね。

「面白そうな番組。だけどウチ、関東ローカル入らないよ」だとしても、あきらめないで。今のご時世、為せば成ることをお忘れなく。どこかで出会えるか、ぜひ模索してみてください。

この記事を書いた人

Sara
Sara
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