戦後71年の原爆の日。小学生・中学生・高校生それぞれ夏休みは親子で戦争と平和を考えよう

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昨年、日本は戦後70年を越えました。戦後生まれ世代からすると、戦争という二文字を見てもピンとこなかったり、70という年数から「すごく昔」「遠い記憶」と余計に距離を感じたりもします。ところが視点を変えれば、今夏で戦後72年目に突入し、終戦の年に生まれた方々は72歳、記憶を語ることのできる当時10歳だった方々は82歳になる現実が見えてきます。つまり「戦争を知る世代」が減っていき、生きた証言を得られる機会もなくなっていく、この先1年1年がいかに貴重なのかが分かります。

戦争の残り香は今もある

今年の5月27日に、アメリカのオバマ大統領が広島を訪れる歴史的出来事がありました。そして今夏「ポケモンGO」がリリースされ、広島の平和記念公園や長崎の平和公園といった慰霊の地がポケストップやジムに設定されていたことで、プレイヤーが押し寄せたニュースも流れました。

世界から見て、唯一の被爆国である日本、敗戦を知る日本、そして70年以上戦争をしていない日本。そうした歴史を背負う国ではありますが「戦争を知らない世代」に占められていくことで、戦争の匂いに対する受け止め方や感じ方に変化があらわれています。

もちろん平和を望む気持ちのように「世代を超えた不変」はあります。その維持には「戦後の親たち」が「戦争と無縁に育つ子どもたち」と一緒に、色々な角度から理解と知識をゆっくり深めていく機会が必要で、ゆとりの時間がとれる夏休みはまさに好都合です。と同時に、8月15日は終戦記念日。玉音放送から流れた日本の決断と大転換に、真夏の空の下で当時の人々は、何を考え、何を思ったのか。同じ季節を共有することで、少しは身近に感じられるかもしれません。

まず「知ること」が大事

戦争と向き合うと、思想・宗教・人種・核・政治・世界情勢といった、難しい話がどうしてもつきまといます。とはいえ子どもの目線に立てば「まず何をしっかり伝えたいか」がおのずと絞り込まれてきます。

戦争はすべてを破壊する力ですが、一方で平和の大切さ、命の尊さ、人間の逞しさを浮き彫りにする側面もあります。悲惨さばかりにとらわれすぎると「戦争から学ぶ」ことを恐れ、かえって逆効果をもたらすため、子どもには伝え方も配慮したいものです。

そこでひとつは「子どもの年齢にあわせて題材を選ぶ」こと、ふたつ目には「ソフトアプローチ」に留意すること。さらに親と子どもが発信と受信の「対面に立つ」のでなく、「隣で横並びになり、同じ目的を一緒に見つめる」姿勢をとることで、重いテーマと向き合う子どもの、心理的負担や抵抗感を和らげることができます。

小学生向け題材

子ども向けの良作アニメがいくつかありますが、映像・音響・演技が見る者に迫ってくるため、低学年にはやや刺激が強い作品もあります。トラウマになっては本末転倒なので、小さいお子さんにはDVDより「絵本」の活用をオススメします。悲しい場面や辛い場面が絵本にも描かれますが、親の声による「読み聞かせ」であれば、子どもは耳を傾けてくれるでしょう。そして読み終わったらぜひ、優しく抱きしめてあげてください。

図書の一例

『ちいちゃんのかげおくり』
http://www.ehonnavi.net/ehon/1601/%E3%81%A1%E3%81%84%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%AE%E3%81%8B%E3%81%92%E3%81%8A%E3%81%8F%E3%82%8A/
『一つの花』
https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%80%E3%81%A4%E3%81%AE%E8%8A%B1-%E3%83%9D%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E6%96%87%E5%BA%AB-031-1-%E4%BB%8A%E8%A5%BF-%E7%A5%90%E8%A1%8C/dp/4591088774
『かわいそうなぞう』
http://www.ehonnavi.net/ehon/140/%E3%81%8B%E3%82%8F%E3%81%84%E3%81%9D%E3%81%86%E3%81%AA%E3%81%9E%E3%81%86/
『8月6日のこと』
http://www.ehonnavi.net/ehon/73046/8%E6%9C%886%E6%97%A5%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8/
『ひろしまのピカ』
http://www.ehonnavi.net/ehon/1025/%E3%81%B2%E3%82%8D%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%AE%E3%83%94%E3%82%AB/

小学生でも中学年以上になると、ややショッキングな映像を目の当たりにした場合「おどけたり」「あれはテレビのこと」と誤魔化すことで、心のバランスを自力でとれるようになってきます。また「怖いもの見たさ」の芽生えから、学校怪談や心霊写真、肝試しなどの延長線で、戦争の話を受け入れる扉も開いてきます。

戦争作品を見せた親の感想レポートによると、子どもたちは恐怖心や嫌悪感のみならず、たくさんの疑問や普段感じることのない感情が波立つようで「親が質問攻めにあう」との報告が多くありました。こうした反応を面倒がる方もいるようですが、「答えを出しにくい問題」に向き合う経験は子どもの糧になります。

そもそも難しいテーマなのですから、親だから大人だからと無理に模範解答を出す必要はありません。むしろ「大人も分からないことがあるから一緒に考えていこう」と、親子の枠を取り払って「人間同士の対話」に子どもを導いてみましょう。幼い心と頭で懸命に弾き出した意見は、大人にもいい刺激になります。

映像の一例

『火垂るの墓』
https://www.amazon.co.jp/%E7%81%AB%E5%9E%82%E3%82%8B%E3%81%AE%E5%A2%93-%E5%AE%8C%E5%85%A8%E4%BF%9D%E5%AD%98%E7%89%88-DVD-%E8%BE%B0%E5%B7%B3%E5%8A%AA/dp/B00196P8PQ
『はだしのゲン』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%AF%E3%81%A0%E3%81%97%E3%81%AE%E3%82%B2%E3%83%B3-2-DVD-%E5%AE%AE%E5%B4%8E%E4%B8%80%E6%88%90/dp/B0009S8FZ0
『ガラスのうさぎ』
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%95%E3%81%8E-DVD-%E8%9B%AF%E5%90%8D%E7%94%B1%E7%B4%80%E5%AD%90/dp/B000FHOUTK
『凧になったお母さん』
https://www.amazon.co.jp/%E5%87%A7%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%8A%E6%AF%8D%E3%81%95%E3%82%93-DVD-%E9%87%8E%E5%9D%82%E6%98%AD%E5%A6%82/dp/B0001LNNKC
『風が吹くとき』
https://www.amazon.co.jp/%E9%A2%A8%E3%81%8C%E5%90%B9%E3%81%8F%E3%81%A8%E3%81%8D-%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%AA%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%89%88-DVD-%E6%A3%AE%E7%B9%81%E4%B9%85%E5%BD%8C/dp/B002BGHXE2

中学生向け

戦時中この年代は、軍から派遣された教官により徹底的な軍事教育を受けました。そして戦況が厳しくなると学徒動員や予科練へ。未成年でも立派な労働力とみなされた時代に、現代っ子たちがどう感じ、意見をまとめるのか、大人はまず懐広く一通りの発信を受け止めましょう。歴史の勉強も本格化し、子どもといえど一人前な考えをもち始めてくる年頃です。

ただ戦争はセンシティヴなテーマですから、なるべく多角的に視野を広げ、若者が陥りやすい偏向を意識し、まず中立的なものの見方を育ませたいところです。子どもと戦争映像を見たら、互いに感想を交わす時間を設けてみましょう。年齢や経験値によって見る視点が違う、受け止め方も違う、感動も違う、その様々な違いや相容れない事柄との向き合い方を、体験させることが大切です。

「認識が間違っている」「そこはおかしい」と大人が頭ごなしに押さえつけては、違いを認め合う空気が育ちません。いっそ「今はどう教わっているのか」「周りはどう感じているのか」と子どもを立てて、子どもの代表として、家族間で意見交換できる場を大人側がとりもってやりたいものです。そうした会話のキッカケに「戦争と家族」を描いた映画やドラマは活用しやすいです。

映像の一例

『さとうきび畑の唄』
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%95%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%8D%E3%81%B3%E7%95%91%E3%81%AE%E5%94%84-%E5%AE%8C%E5%85%A8%E7%89%88-DVD-%E6%98%8E%E7%9F%B3%E5%AE%B6%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%BE/dp/B00011F1CU
『15歳の志願兵』
https://www.amazon.co.jp/15%E6%AD%B3%E3%81%AE%E5%BF%97%E9%A1%98%E5%85%B5%E2%80%95%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%A2%E7%89%88NHK%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB-%E5%A4%A7%E6%A3%AE-%E5%AF%BF%E7%BE%8E%E7%94%B7/dp/4811387945
『男たちの大和』
https://www.amazon.co.jp/%E7%94%B7%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E5%A4%A7%E5%92%8C-YAMATO-DVD-%E5%8F%8D%E7%94%BA%E9%9A%86%E5%8F%B2/dp/B000F6RURU
母と暮らせば
http://hahatokuraseba.jp/

高校生向け

今どきの高校生は、大人を論破できるだけの情報量を簡単に入手することができます。また選挙権が18歳に引き下げられ、政治を身近に感じる道が拓けて、今年の参院選や各地の知事・議会議員選に、親子で投票所へ出向く姿も見られました。つまり高校の3年間は「中立的な物の見方」だけでなく、自分なりに「イエスかノー」をジャッジできる力を養う過程にあります。

しかし高校生の主な情報源であるインターネットには、正確さや裏付けに不安があるうえに、「好きな情報しか触れない」受け手の都合次第というアンバランスさがあります。

ひとつの物事を「複眼的に見る感覚」を育てるのに、比較的取り組みやすいのが「同テーマの色々な解釈を知る」方法です。なかでも映画は知り・学ぶだけでなく、勉強・部活・アルバイトに忙しい高校生にとって息抜きも兼ねた社会勉強になります。

戦争を扱う映画はテーマが明確なうえに、リメイク作品や海外版といった「別視点」ものが多いので、鑑賞するだけで自然と「複眼的な感覚」に入りやすいといえます。大人にも見応えある作品が多いので、観賞後は親子で映画ディスカッションを兼ねて、広く物事を見つめるチカラと自分の意見を持つチカラを切磋琢磨してみましょう。

テーマの一例

<真珠湾攻撃>
『パール・ハーバー』01年公開

アルマゲドンなどを世に出したマイケル・ベイ監督作品だが、アメリカご都合主義映画と日本では位置づけられている。しかし当時のアメリカの見下しや怒りの度合いが分かりやすいという説も。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC-%E7%89%B9%E5%88%A5%E7%89%88-DVD-%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF/dp/B0009Q0JYC
『トラ!トラ!トラ!』1970年公開

リチャード・フライシャー監督と深作欣二監督との合同映画。公平な視点の作品と日本の評価は高いが、アメリカでの功績はふるわなかったこと、黒澤明監督とのエピソードなど、周辺情報も盛りだくさんな作品。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%88%E3%83%A9-DVD-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%BA/dp/B000BR2LLS
<同タイトル>
『わたしは貝になりたい』

町の小さな理髪店の店主が、第二次世界大戦の中招集。上官の命令に従った行為が、戦後に戦犯扱いとなり絞首刑の判決が下される。実在した遺書の一部から創作された物語だが、終戦から13年が経過し、高度成長期へ移行し始め、戦争の傷や悲惨さが薄れ始めた日本に、強い衝撃と深い感動を投げかけた不朽の名作といわれる。1958年のテレビドラマ版、59年の映画版の主演はフランキー堺、09年のリメイク映画版は中居正広。また所ジョージや中村獅童主演作もある。

https://www.amazon.co.jp/%E7%A7%81%E3%81%AF%E8%B2%9D%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-DVD-%E4%B8%AD%E5%B1%85%E6%AD%A3%E5%BA%83/dp/B001WAAAH0
『日本のいちばん長い日』

ポツダム宣言の受け入れを決定してから、昭和1945年8月15日正午に流される玉音放送までの、苦悩と困難と緊張感にまみれた24時間を描いた作品。本土決戦派と終戦派、日本人同士が繰り広げた闘いから、日本のメンタリティが感じ取れる映画ともいわれている。1967年版は岡本喜八監督・阿南役に三船敏郎、15年版は原田眞人監督・阿南役に役所広司。

http://nihon-ichi.jp/
<戦時中海外に残されたジャパン・エピソード>
『バンクーバーの朝日』

日系カナダ移民の二世を中心とした、実在の野球チーム・バンクーバー朝日がモデルの映画。1900年代初頭に新天地を求めてカナダに渡った日本人だが、過酷な肉体労働と貧困と差別を強いられていた。

二世らが組んだ野球チームは白人チームに負け続けていたが、ある勝因に気づき、バントと盗塁を多用する「頭脳野球」「サムライ野球」で地域を沸かせる。しかし第二次大戦が始まった1941年より日系移民の扱いが再び転じてしまうのだった。2015年公開、石井裕也監督・主演は妻夫木聡。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%81%AE%E6%9C%9D%E6%97%A5-Blu-ray-%E8%B1%AA%E8%8F%AF%E7%89%88-%E5%A6%BB%E5%A4%AB%E6%9C%A8%E8%81%A1/dp/B00WII0GLU
『杉原千畝 スギハラチウネ』

第二次大戦中に、リトアニアの領事館に赴任していた日本人外交官が、ナチス・ドイツの迫害より逃れてきた難民に同情し、外務省からの訓令に反して「命のビザ」を発行し続けた実話を元にした映画。

「人道的考慮だった」と2000年に当時の外務大臣から公式な名誉回復がなされるまで、戦後日本の外務省において冷酷な中傷が絶えなかったという。しかし名誉回復の知らせは、杉原千畝没後14年も経過してからと記録にはある。2015年公開、チェリン・グラッグ監督・主演は唐沢寿明。

http://www.sugihara-chiune.jp/

まとめ

戦争体験を語ることは、辛さの発散にはならないといいます。忘れてしまう方が心穏やかに暮らせるのですから、戦争体験者であることを子や孫に明かさない方も多いようです。それでも絵本・小説・漫画・アニメ・ドラマ・映画などを通して、当時の記録や体験を伝えてくれた貴重な声もたくさんあります。

戦後生まれの世代はしっかり心に刻み、そして、深く傷つきながらも日本を建て直してくれた「戦争を知る世代」へ深く感謝し、子ども達の未来に繰り返されることのないよう平和のバトンを繋ぎたいものです。

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